複数の遠隔地から転圧状況を管理
伊米ヶ崎建設株式会社
新潟県魚沼市
土木部 アソシエイトエンジニア
髙橋 壮太 氏
土木部 アシスタントエンジニア
柳 良太 氏
建設ディレクター部 アシスタントディレクター
森田 倫音 氏
会社概要
伊米ヶ崎建設株式会社は、1932年創業、新潟県魚沼市に本社を置く総合建設業である。企業理念は「地域と共に歩み、安心と信頼を築く」。米の名産地である魚沼市で圃場整備事業を中心に、国土交通省や新潟県を主要取引先とし、砂防工事・道路工事・河川工事をはじめ、災害対応や除排雪業務にも従事。ICT技術を活用した施工管理や業務効率化を推進し、技術力と誠実な施工で地域農業の基盤整備と発展に貢献している。
Solution Linkage Compactor
ヘリポート整備事業における締固め管理の効率化
今回、伊米ヶ崎建設がSolution Linkage Compactor(以下、SL-Compactor)を導入したのは、新潟県魚沼市の消防本部ヘリポート他造成第1期工事である。本工事は、災害時や緊急時にヘリコプターを安全・迅速に運用できる拠点を整備するための重要なプロジェクトとして発注された。魚沼市は豪雪地帯であり、地震や豪雨などの災害リスクも高いため、ヘリポートの整備は地域防災力を大きく向上させることを目的としている。
従来の締固め管理方法における課題と工程管理への負担
従来、締固め管理は砂置換法を用いて地質調査会社に依頼していた。しかし、この方法には以下の課題がある。
【試験依頼・日程調整の負担】
まず、近隣で砂置換法を請け負える会社が限られており、試験費用が高額になる傾向がある。さらに、地質調査会社との試験日程の調整には時間を要し、事前に施工計画を踏まえて試験日を想定し、早めに依頼する必要がある。しかし、現場では天候不良や予期せぬ施工遅延が発生することが多く、そのたびに試験日を再度調整しなければならず、工程管理に大きな負担がかかっていた。
【施工停止のタイムロス】
また、砂置換法の試験手順自体にも時間的な制約がある。現場で掘削した穴の体積を測定した後、採取した土の含水比を室内試験で測定し、最終的な乾燥密度を算出する必要がある。このため、結果が判明するまで通常1日以上を要し、その間施工を一時停止することになる。近年の働き方改革による工期短縮や効率化が求められる現場では、このタイムロスが大きな問題となる。
【測定精度のリスク】
さらに、砂置換法は測定精度の確保にも課題がある。試験用砂の乾燥密度や漏斗部分を満たすための砂の質量など校正が不正確な場合、測定結果全体に大きな誤差が生じる恐れがある。こうした誤差は品質管理上のリスクとなり、施工の信頼性を損なう要因となり得る。
砂置換法は従来から広く用いられてきた方法であるものの、費用・時間・精度の面で多くの課題を抱えている。特に、現場の効率化や品質確保の観点からも、本現場では、より迅速かつ正確な試験方法の導入や、リアルタイム管理を可能にする技術の検討が不可欠であった。
リアルタイムに転圧回数管理を行い、施工効率と品質確保を両立
従来の砂置換法で課題を抱えていたところ、日立建機日本から転圧管理での締固め管理が可能なSL-Compactorを紹介された。SL-Compactorは事前に土質試験で算出された数値を基に、転圧回数管理を行えるソリューションである。タブレット操作は簡単で視認性も高く、オペレータの負担を軽減できる。さらに、パソコンで施工状況をクラウド管理で遠隔確認できるため、現場管理者の確認作業の負担も削減できる点が特徴である。
実際に、設計データの作成などを担う建設ディレクター部(本社)と現場事務所の2カ所の遠隔地から施工状況を確認することで、リアルタイムで施工状況把握をしながら施工を進めることができた。
今回の転圧回数管理システムの導入は、2020年に造成現場で他社の転圧管理システムを利用して以来、5年ぶりとなる。当時は1日の終わりに転圧履歴をUSBで情報取得していたため、施工中の状況はオペレータにしか確認できず、未施工部分があった場合は翌日に再確認しながら対応する必要があった。しかし、SL-Compactorの導入により、リアルタイムで施工状況を確認できるため、未施工部分への指示出しが即座に可能となった。
オペレータはコンバインドローラ(ZC50C-5)だけでなく、他のICT建機やブルドーザにも乗り換えながら施工を行っていた。そのため、ダンプの出入りに転圧が追いつかない場合もあったが、タブレット上で転圧完了箇所を確認し、土砂の荷下ろしを的確に指示することができた。
また、マシンコントロール仕様のブルドーザで高さ方向のオフセットを利用して敷き均しを行い、コンバインドローラで転圧回数管理を実施することで、丁張をかけずに施工を実現した。
さらには写真管理の負担も大幅に軽減された。従来は路床で25枚、路体で20枚、合計45枚の写真撮影が必要だったが、SL-Compactor導入後は路床と路体を合わせてわずか8枚に削減できた。現場管理者の負担が減り、記録作業にかかる時間を他の重要業務に充てることが可能になった。
地域に根ざし、価値を生み続ける
魚沼地域に根ざし、『人、自然そして調和』という理念のもと、お客さま・地域社会・従業員の幸せを追求してきた。地域にとってなくてはならない建設会社であり続けるために、働き方改革やIT活用、最新技術の導入など、時代の変化に合わせた取り組みを積極的に進めている。残業や休日出勤を減らし、情報共有の環境を整えることで、従業員が安心して働ける職場をつくり、より良いモノづくりを実現することが使命である。
お客さまの声、地域の声に耳を傾けながら、技術と感性を磨き続け、社会に貢献できる企業をめざして歩みを止めることはない。人と自然が調和し、豊かに暮らせる未来を築くために、これからも変化と成長を重ね、地域に不可欠な存在として歩み続けていく。